【会員の皆様へ】経済3団体連名による「社会全体における『価格転嫁の商習慣』の定着」に向けた要請について
日本商工会議所では、「パートナーシップ構築宣言」の普及促進と実効性向上に向けた取り組みを推進しています。昨年の要請から1年間で、宣言企業数は約5割以上増加し(約38,000社→58,000社)、同宣言と取引適正化への理解は、全国的な広がりを見せており、皆様のご協力に感謝申し上げます。しかしながら、昨年の中小企業庁の調査ではコスト転嫁率は約50%と価格転嫁は「道半ば」にあるのが実情であり、BtoB取引での「パートナーシップ構築宣言」の実効性確保に加えて、BtoC取引では消費者に対して『良いモノやサービスには値が付く』という価値観を浸透させ、デフレマインドを払拭し、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立に向けて、官民挙げて推進していくことが急務です。つきましては、会員の皆様に本要請をご確認賜り、一層のご協力をお願い申し上げます。
❶要旨【要請内容(概要/詳細は別添参照)】
1.経営者自らが先頭に立った、取引適正化への取組み強化
経営者自らが先頭に立ち、「パートナーシップ構築宣言」について、積極的に宣言・公表を行うとともに、実行とフォローのための社内体制を明確に示し、取引適正化の徹底を図る。
下請法改正等に伴い、「パートナーシップ構築宣言」の内容を不断に見直すとともに、直接の取引先を通じて、その先の取引先へ働きかけることで、宣言の実効性確保と社会全体への浸透を図る。
発注者及び受注者は、内閣官房と公正取引委員会による「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に示された12の行動指針(別添参照)に沿う行為を徹底するとともに、経営トップが社内外に方針を示す。
2.労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁の推進
発注者及び受注者は、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の価格交渉様式例(別添参照)を活用し、最低賃金上昇率、春季労使 交渉の妥結額・上昇率等の公表資料を基に価格交渉を行い、下請法対象取引のみならずサプライチェーン全体で労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁を推進する。
発注者であるサプライチェーン上位に位置する大企業等は、受注者の要請に真摯に向き合うとともに、受注者においても価格交渉力を高め、臆することなく価格交渉を申し入れるなど、価格転嫁を商習慣としていくことに努める。
3.「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値の向上
サプライチェーン全体での付加価値の向上を図るとともに、規模や系列・業種・地域を超えたパートナー企業との連携を促進し、発注者及び受注者双方の付加価値の拡大を目指す。
人手不足が深刻化する中、デジタル化や省力化など、中小企業単体では対応が困難な課題解決にサプライチェーン全体で積極的に挑戦する。業種・業界・サプライチェーンの課題を適切に把握するとともに、業界内で依るべき優良な取引慣行について体系的な改善サイクルを確立する。
「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値向上を図るため、政府においては、最終消費者である国民に対し、「良いモノやサービスには値が付く」ことの理解深化に向けて、メディア等を活用した啓発を行う。
❷関連情報
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト
経済三団体連名による「社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着」に向けた要請
労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」案内チラシ
価格交渉・価格転嫁のススメ ~事業者の価格交渉力強化に向けて~